なぜ現代社会は「自己愛過剰」に陥るのか?『自己愛過剰社会本』で紐解くその真実
『自己愛過剰社会本』──私たちの社会はなぜ自己中心的になったのか?
ジーン・M・トウェンギとW・キース・キャンベルによる著作『自己愛過剰社会本』(河出書房新社、2011年)は、自己愛が社会に及ぼす影響を深く掘り下げた一冊です。訳者の桃井緑美子氏による丁寧な訳で、心理学・精神病理の分野だけでなく、広く現代社会の問題点を探求したい読者にもおすすめ。
自己愛過剰とは何か?
自己愛とは自己評価や自己重要感のこと。過剰になると、他者への共感力が低下し、社会的な摩擦や孤立を招く可能性があります。本書は、その現象がどのように現代社会で広がり、若い世代を中心に「自己愛のエピデミック(感染)」が起きているのかを科学的データと豊富な事例で説明しています。
現代社会と自己愛過剰の関係
スマートフォンやSNSの普及、個人主義の拡大、過度な競争社会などの要因が、自己愛過剰の増加を加速させていると本書は指摘します。自己愛過剰は自己肯定感と混同されがちですが、根本的には異なり、後者は健康的な自尊心であるのに対し、前者は自己中心的で脆弱な自己像を伴います。
精神病理的観点からの解析
本書は境界例や人格障害との関連も論じ、自己愛過剰がどのように人格形成に影響を与えるのか、心理学的に検証。現代人の精神的健康を守るための示唆に富んでいます。
まとめ
『自己愛過剰社会本』は、現代に生きる私たちが抱える「自己愛過剰」という問題を理解し、より良い人間関係や社会環境を築くためのヒントを与えてくれる必読書です。自己中心的な傾向に悩む方、社会問題としての心理学に興味がある方に強くおすすめします。
現代日本の全てを貫く私意識のかげに潜む自己愛の闇
# 自己愛過剰社会本
概要
『自己愛過剰社会本』は、ジーン・M・トウェンギとW・キース・キャンベルの著書「THE NARCISSISM EPIDEMIC」の日本語訳版です。この本では、自己愛過剰が社会的に蔓延している現状を分析し、その原因と影響について探究しています。
著者紹介
- ジーン・M・トウェンギ(Jean M. Twenge)は、サンディエゴ州立大学の心理学教授です。自己愛過剰の研究を専門とし、多数の論文を発表しています。
- W・キース・キャンベル(W. Keith Campbell)は、ジョージア大学の心理学教授です。自己愛過剰の研究を専門とし、多数の論文を発表しています。
訳者紹介
- 桃井緑美子は、精神保健福祉士であり、心理学書の翻訳を手掛けています。
出版情報
- 出版社:河出書房新社
- 出版年月:2011年12月
- サイズ:385P、20cm
- ジャンル:人文 ≫ 精神病理 [ 境界例・人格障害 ]
- 原タイトル:THE NARCISSISM EPIDEMIC
登録情報
- 登録日:2013/04/06
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